2024.10.26
プリンストン大学プリンストンプラズマ物理研究所との共同実験として、磁気リコネクションに関する研究を大阪大学にて実施しました。磁気リコネクションは、太陽表面のジェット形成のような宇宙や天文現象における粒子加速の重要なプロセスであり、核融合プラズマ内での磁場によるプラズマ閉じ込めにも大きな影響を与えるものです。
今回の共同研究では、LFEXレーザーをキャパシタコイルターゲットに照射し、強力な磁場を生成しました。磁場および電場の測定には陽子ラジオグラフィーを用い、プラズマ計測にはレーザー干渉計を使用しました。プリンストン大学からは、Hantao Ji教授、Lan Gao博士をはじめ、Yang、Randon、そして Geoffrey が来日し、実験と議論に参加しました。実験後は、ふぐ料理を楽しみました。
2024.10.5
フランス・パリ天文台のFranck Delahaye博士とエコールポリテクニークレーザー研究所のMichel Koenig博士が,共同研究のために9月29日から10月4日の一週間大阪大学に滞在しました。本共同研究は,プラズマのX線オパシティー(不透明度)の測定に関するもので,昨年度の実験データの解析や、来年度の研究提案について幅広く議論を行いました.2024年11月にパリで開催される「Radiative Properties of Hot Dense Matter (RPHDM)」において,オパシティーに関するラウンドテーブル会議を開催する予定です.
2024.9.17
9月16日から19日にかけて北海道大学で開催された日本物理学会の年次総会に、LFグループのメンバーが参加しました。藤岡さんは「レーザー生成接線非平衡微小スケールプラズマの高時間・空間分解計測」について招待講演し、Lawさんは「レーザー駆動磁気リコネクションにおける粒子加速におけるイオン種依存性の数値解析」について講演し、瀧澤さんは 「高コントラストレーザーと円錐ターゲットの結合」について講演し、唐木君は「複合放物面集光器と高コントラストレーザーを用いた高エネルギー密度プラズマの生成」について講演し、松原君は「放射能測定によるp-B反応の推定」について講演し、 山田君は「レーザーを用いたスピン偏極中性子発生」について講演しました。さまざまな議論に加えて、食事も楽しみました。
2024.8.20
Lawさんの最新の論文”Observation of Ion Species Energy Dependence on Charge-to-Mass Ratio in Laser-Driven Magnetic Reconnection Experiment”では、レーザー生成プラズマを用いた磁気リコネクションの実験研究について報告しました。この研究では、磁気リコネクションの過程において、異なるイオン種のエネルギーがその電荷質量比とどのように相関するかに着目しました。実験結果には、イオンのエネルギーが電荷質量比の2乗に依存するというスケーリング関係が見つかり、荷電質量比が実験室や宇宙プラズマ環境における粒子加速を理解する上で重要な意味を持つことが明らかになりました。
詳細については、高エネルギー密度物理学ジャーナルの記事全文をご覧下さい。
2024.8.6
“Formation of High Areal Density Core using an Efficient and Robust Implosion method for Fast Ignition”は、長友先生とLFグループのメンバーによる核融合エネルギーに向けた革新的なアプローチの探究の成果です。この研究では、高速点火核融合の条件を最適化するために設計された、改良型等エントロピー圧縮(M-HIC)と呼ばれる新しい燃料圧縮法について、数値シミュレーションを用いて調べました。精密に制御されたステップパルスを有するレーザーを用いることで、燃料をより効率的に圧縮し、エントロピーの増加を最小限に抑えながら点火に必要な条件を達成します。
このアプローチの特筆すべき点は、最終圧縮段階の前にレーザー出力を一時的に下げる”power dip”のアイディアです。これにより、臨界密度付近の電子とイオンの温度を下げることができ、レーザーとプラズマの相互作用による悪影響を軽減できる可能性があります。
2024.8.4
田中さんの論文がJournal of Applied Physicsに掲載されました。
水素負イオンは、磁気閉じ込め核融合炉の中性粒子ビーム入射加熱や半導体製造、陽子加速器の入射ビームとして広く利用されています。負イオンの生成効率を向上させ、持続的な利用を可能にするために、近年、仕事関数の小さいエレクトライドと呼ばれる新しい材料が注目されています。
本論文では、低エネルギー(1keV以下)、微小入射(10度以下)の条件下で、水素原子・分子イオンビームとエレクトライド表面との相互作用を系統的に調べました。その結果、反射される水素イオンに含まれる負イオンの割合が、角度やエネルギーが低いほど増加することを見いだし、負イオン源としてのエレクトライド材料の実用可能性を示しました。
詳細については、AIPのウェブサイトをご覧ください。